第1章、速度値を捏造して、支払う補償を激減させる

1-1、自分側の過ちは揉み消す

悪用される過失割合の付加条件

交通事故の経験者は、事故の後「この事故は7:3だ! 8:2だ!」などと『事故の責任の割合』を耳にした事が有ると思います。

この割合の事を『過失割合』と言います。

通常、過失割合は事故現場の状況で機械的に決められます。

交差点内の事故か? 直進の事故か? 信号の色は? どちらが優先道路か? 自動車×自動車? 自動車×歩行者? etc…

事故現場の状況に応じて、どちらにどれだけ事故の責任が有るかが細かく決まっていると思ってください。

ネットで検索すれば、自分の事故の状況に合致する過失割合を見つける事ができるでしょう。

しかし、裁判で悪用されているのは『過失割合の付加条件』の項目です。

どちらかの運転手に『飲酒運転』とか『信号見落とし』、『右折合図忘れ』など…過失が有った場合に、その過失の大きさに合わせて過失割合が修正されます。

(安全運転の為にやるべき事をやらないと、ペナルティーを受けるのです。)

『速度超過』を狙い撃ち

数ある付加条件の項目の1つ『速度超過』に注目して悪さをしてくる連中が多い…という事です。

どうしてなのか?

それは、スピードメーターをずっと見ながら運転する人は居ないからです。(逆に事故になります。)

「ひょっとしたら速度が出ていたかも…。」

そうと思わせるだけで成立する可能性が有る『便利な言い掛かり』なのです。

確たる証拠が無くても、被害者に速度超過を認めさせる事ができれば、交通事故の賠償金は大きく変化します。

その点が悪用されているのです。

事実を揉み消す『免罪速度』

『速度超過の事実』に対し『過失を逃れる』目的で用いられる(有った事を無かった事にする)のが『免罪速度』(めんざいそくど)です。

これとは逆に、速度にゲタを履かせて被害者側の過失を主張する(無かった事を有った事にする)のが、前著で説明した『冤罪速度(えんざいそくど)』です。

ここでの説明は省略します。

(『冤罪速度』に興味のある方は『Amazonで電子書籍を販売』しています。 無料サンプルで『試し読み』もできますので、そちらを参照ください。 こちらのWebサイトの内容は、前著『簡単な計算で、交通事故での「嘘」は99%暴かれる。』の続編です。 本Webサイト単体でも理解できる様に記述していますが、更なる理解を望まれる場合には、電子書籍をご購入頂けると嬉しいです。)

仮に、『制限速度40km/hの道路』で、加害者車両の速度は『70km/h超の重過失に相当する状態だった』とします。

この場合に、70km/h超で走行していた事実を隠して「車両の速度は52.2km/hだった!」と主張するのが『免罪速度』なのです。

後述しますが、この時…なぜ50km/hではなく、55km/hでもなく、『52.2km/hでなければならないのか』が大きなポイントになります。

ポイントその1: 被害者は『横行する速度のイカサマ』に注意!

1-2、免罪速度(めんざいそくど)

免罪速度=フィクション

『免罪速度』とは『実際は速度超過していたけれど、それをごまかす手段』です。

字の如く、『罪を免れる為に主張する速度』なのです。

もちろん、完全に嘘の値です。

免罪速度を見分けるポイントは2つ、

 1、制限速度+15km/hを超えない

 2、秒速が○△.5m/sになる値

以上を満たす最大値です。

速度超過を隠す行為

事故の際、道路の制限速度に対して車両の速度超過が多ければ多い程(スピードが出ている程)責任(過失)を問われます。

制限速度+15km/h以上の速度超過の場合、過失は1割増えます。
(+15km/h以上~30km/h未満:『著しい過失』に相当)

制限速度+30km/h以上の速度超過の場合、過失は2割増えます。
(+30km/h以上:『重過失』に相当)

同等(5:5)の現場で事故が起きた際、制限速度が40km/hなら、55km/h以上で事故の責任が1割増え(6:4)70km/h以上で2割増え(7:3)ます。

裁判では、相手側の過失を指摘するのと同時に、自分側の不祥事を隠すケースが少なくありません。

本来であれば1割~2割の過失を負うべき速度違反が有ったのに、それを隠ぺいする人が居ます。

この時、速度超過を巧妙にごまかす為に生まれたのが『免罪速度』なのです。

プロ鑑定人は数字のマジックを利用して、『制限速度40km/hの道路』を70km/h以上で走行していた場合に、

 ・「52.2km/hで走行していた!」(免罪速度)

 ・「66.6km/hで走行していた!」(免罪速度ミニ)

…と、この様な速度値を主張します。

事実との速度差が大きいほど悪質

先の『52.2km/h』と『66.6km/h』では、値は小さくとも事実との差が大きい『52.2km/h』の側が、より悪質な内容である『免罪速度』に該当します。
(値の大きい『66.6km/h』側が、事実との速度差が小さい『免罪速度ミニ』です。)

実際には70km/h以上の速度で走行していたのに、速度超過の指摘を免れる為に『低い速度』での衝突を主張するのです。

免罪速度を主張する行為は、「自分側には何も過失が無かった!」と主張している事と同じです。

しかも、違反にならないぎりぎりセーフな上、計算し易い値なのです。

…これは、とても都合の良い不自然な値だと言えます。

だからこそ、この様な値を目にした時には、その値の正当性について『より詳しく調べる必要が有る』のです。

『制限速度が40km/hの道路で70km/h以上(+30km/h以上)の速度で走行していた。』恐れが有る場合…

+30km/h以上の速度超過の時に、『制限速度+14.99km/h未満の速度を主張』するのが免罪速度です。
(ごまかす速度は15km/h以上!)

+30km/h以上の速度超過の時に、『制限速度+15km/h~29.99km/hの速度を主張』するのが免罪速度ミニです。
(ごまかす速度は15km/h未満!)

サバを読む値が大きい程、悪質な嘘だと言えます。

ポイントその2: 速度超過で『負うべき過失』を偽る行為。