第1章、速度値を捏造して、支払う補償を激減させる

1-11、【コラム】民事訴訟法157条

先日の裁判で、とても良い勉強になったので、『民事訴訟法157条』の内容について紹介します。

ざっくり説明すると、『後出しじゃんけんはNG!』と言う法律です。

  1. 【条文】 第157条(の1)

    1、当事者が故意又は重大な過失により時機に後れて提出した攻撃又は防御の方法については、これにより訴訟の完結を遅延させることとなると認めたときは、裁判所は、申立てにより又は職権で、却下の決定をすることができる。

    2、攻撃又は防御の方法でその趣旨が明瞭でないものについて当事者が必要な釈明をせず、又は釈明をすべき期日に出頭しないときも、前項と同様とする。

例を挙げると…事故の際、ドライブレコーダーで事故の映像が録画されていたとしましょう。

その事実は隠して、相手に好き放題言わせた後で水戸黄門の印籠の如く証拠の動画データを裁判資料として提出した場合、『遅れて出した証拠は証拠として認めない事が有る!』と民法に書かれているのです。 エ━(;゚д゚)━

(※第157条の2が有るので『…事がある!』と濁しました。)

でも、これっておかしくないですか?

いきなり印籠を出す水戸黄門は居ません。(笑)

悪事を暴いてからですよね!?

交通事故の裁判でも、相手側に言いたいだけ嘘や言いわけを言わせておいて、最後に動かぬ証拠を突き付けた方が、分かり易い事でしょう。

逆に、157条の影響で先に事故の動画を見せた事で、違う言いわけを出現させる事になり、かえって『裁判の長期化を引き起こす原因になる』と僕は思います。

被害者に対峙するプロの面々は、『利益を手にする目的で都合の良い事故の状況を主張』します。(それがお仕事なのです!)

ドライブレコーダーの動画の様な『明確な物証』が提出された場合、『その映像では確認できない別の理由をでっち上げてくる』だけの事です。

先に証拠を見せる事で、画面には映っていなかった重箱の隅をつつく主張をされる破目になると…話がこじれにこじれる事でしょう。

現状、交通事故訴訟で『嘘でも何でも言ったもん勝ち!』な状況を目にします。

何も悪くなかった被害者側が不公平な内容で強引に和解を迫られる事は…本当に正しい事なのでしょうか?

残念ながら、交通事故の裁判においては民事訴訟法157条が足かせになる事を警戒すべきでしょう。

ではどうするのか?

第157条の2は『きちんとした理由が有れば157条は適応しない』と言っているので、情報提示が遅れる正当な理由を先に説明しておくと有効かもしれません。

(ただ、適応されずに怒っている記事も多く目にするので、『意外と157条は適応され難い』様です。)

  1. 【条文】 第157条の2

    第百四十七条の三第三項又は第百五十六条の二(第百七十条第五項において準用する場合を含む。)の規定により特定の事項についての攻撃又は防御の方法を提出すべき期間が定められている場合において、当事者がその期間の経過後に提出した攻撃又は防御の方法については、これにより審理の計画に従った訴訟手続の進行に著しい支障を生ずるおそれがあると認めたときは、裁判所は、申立てにより又は職権で、却下の決定をすることができる。ただし、その当事者がその期間内に当該攻撃又は防御の方法を提出することができなかったことについて相当の理由があることを疎明したときは、この限りでない。

更にもう一歩突っ込むと、『そもそも交通事故の解析結果には、間違いが多い!』と言う事です。

(物理的に破綻した説明も多く、その事を皆さんに伝える為に僕は電子書籍を出版しました。)

平たく言うと、ドライブレコーダー等の『明確な証拠』を使って、最終最後でちゃぶ台をひっくり返されたらたまらない交通事故訴訟の関係者が少なくない!…のです。

では、157条は『裁判の遅延行為を防止する働き』が有る法律なのでしょうか?(逆効果になりますよ!?)

正しい事を主張するのに、早いも遅いもありません。

法廷を我が物顔で闊歩する交通事故の嘘八百。

…そんな状況で、序盤に虎の子の物証を出させて、本当に大丈夫なんでしょうか?

(嘘や言いわけが、より巧妙になるだけでは!? 責任は誰が取るんですか?)

それとも、裁判官にだけ情報を開示する(相手側にはこちらの物証を見せない)方法とか…有るのでしょうか?

裁判所は157条をゴリ押しするのであれば、『相手側には情報を開示しない』選択肢などを盛り込むべきです。

極論ですが、相手側に好き勝手言わせておいて、最終最後に即死系の物証(動画やEDRのデータ)で王手をかける方がシンプルです。

プロの方々も一度手痛い目に遭えば、そうそう好き勝手に夢物語な事故原因を主張できなくなるかもしれません。

(裁判官も『虚言を弄しているのはどちらか!?』が明確に分かった方が、判断し易いですよね!?)

むしろ、裁判における嘘八百を抑止する目的として、交通事故訴訟では157条については目を瞑る方が有益ではないでしょうか。

(『物証に差し障りの無い巧妙な嘘の発言を防ぐ為』と言うのは、『期間内に当該攻撃又は防御の方法を提出することができなかったことについて相当の理由』に該当するのではないでしょうか!?)

目は瞑らないにしても、『証拠その物を受け付けなくする現行の運用』は非常に理解に苦しみます。

交通事故訴訟であれば、『裁判期間中の遅延損害金(利率5%)について、一部または全部を認めない…』といった感じで、悪質な遅延行為や混乱を目的とした場合を除いて『遅延によって発生する利益の差額分に対するペナルティーを科す』だけで良いのではないでしょうか?

ポイントその11: 157条は簡単に逆手を取られる上、自分の首を絞めている…。