第5章、角度の詳細

5-11、【コラム】実況見分調書の間違い

テレビの特番などで、『交通事故鑑定人〇〇が、交通事故に潜む嘘を暴く!』みたいな内容が放送される事があります。

もちろん本職である僕も気になるので、ついつい見てしまいます。

ですが、この手の番組では結構な割合でズルい手法が使われているのですが…気付きましたか!?

その多くで、『結論がおかしい』状態なのです。

ここが一番の闇です。

例を挙げましょう。

番組の構成が、『 事故発生 → 実況見分 → 【違和感】 → 鑑定人に依頼 → 嘘発見 → 裁判で勝つ! 』…ざっくりこんな流れだとします。

この時、事故の事実と違っていた場合の責任を『実況見分調書』に負わせる事が多いのです。(もしくは目撃者などの『第三者』。)

実況見分調書とは、事故後に警察が当事者を交えて『事故に至るまでの状況について説明を行わせ、それを警察が書面に直した物』です。

つまり、遠回しに警察を批判しているのです。

まず、事故後 警察は実況見分を行います。

事故に至った運転の『交通ルールの違反を見つけ、罰則(減点や罰金)を科す為』に調べているのです。

平たく言えば、罰金に当たるのか? 免停なのか? 面取りなのか?…『免許証の点数を何点減点するか?』を決める為の調査なのです。

警察は民事裁判の証拠収集の為の使いっ走りではありません!

更に…加害者が嘘八百を並べたら、内容が滅茶苦茶な実況見分調書を作られる恐れが有るのです。

あまりに明白な嘘の場合には、実況見分の最中に警察からもツッコミが入りますが、基本的には質問した回答を淡々と記載して行きます。

(ただ、嘘を吐くと、後で裁判に発展した際に痛い目を見ます。 嘘を見つけるのが僕らの仕事なので…。)

まぁ、嘘は言い過ぎだとしても、間違いや勘違いなんて事は、気が動転した事故直後なら有り得る話です。

事故後、少しくらい自分に有利な発言をしたくなる事でしょう。(人間だもの。。。)

そんな背景の下で作られていて…実況見分調書の間違いの責任は、本当に警察にあるのでしょうか!?

問題は、実況見分で警察が間違えたのではなく、『嘘や間違いを口にする当事者が居る』と言う事実です。

もしくは、問題は他に有るのに、メディアではあたかも『実況見分に問題があったかの様な表現』を行う事も考えられます。

仮に事実でも、口が裂けても「損保側に問題があった!」なんて結論は言いません。

どうしてそんな事をするのか?

メディアにとって、損保会社は大口のスポンサーでもあるからです。

取引先のお客さんの悪口を言う下請けは居ません。

むしろ、『交通事故の世界には嘘がある!』と放送してくれているだけ、まだ良い方です!

『報道しない自由』なんて言葉があるくらいです。

彼らなりに報道できるギリギリのラインで戦っているのだと、、、僕は理解しています。

(中にはTVの内容にご立腹の警察関係者の方も見えると思いますが、大目に見てあげてください。)

この世界は、『正しい事は正しい!間違っている事は間違っている!』と言えない…言っても黙殺される世界です。

メディアは警察や目撃者など『事故との関係が薄い第三者を悪者にして話を終わらせる』事が多いですが、そんな結論に影響されてはいけません。

実際には被害者と加害者のどちらが悪くて事故が起きたのか? …客観的に事故を見る必要があるのです。

ポイントその53: メディアの発行元も株式会社なので、会社の不利益になる行動は出来ない!