5-12、旋回運動の関係式
旋回運動で『後輪を軸とした場合』での、僕が証明した関係式です。
先にも説明した通り、次の3つの値が分かれば旋回半径Rが1つに定まります。
① ⊿X:右折開始地点から衝突地点までのX軸上の距離
② θ:衝突角度
③ Y:後輪から衝突箇所までの距離
この3つの値と旋回半径Rとは物理的に関係しあっています。(好き勝手に値を変える事はできません!)
逆を言うと、これらの値についていい加減な事を主張すると、『事故車両がありえない軌跡を描く』事になります。
具体的には、信号、電柱、縁石、ガードレール、駐車車両…といった障害物に衝突する『自爆運転』になるのです。
薬物や急病で意識が無くなる等のトラブルや特別な理由が無い限り、その様な運転を行う可能性は皆無に等しいと言えます。
嘘に騙されない為にも、上式を利用して『事故にならなかった場合の車両の軌跡』を必ず確認してください。
その為に、旋回運動を伴う事故では関係式にそれぞれの値を代入して、車両の旋回半径Rを検証してください。
【関係式の証明】
回転移動の一次変換より、
①×cosθ、②×sinθより
①'+②'より
③'を代入し、X'を左辺に移項
Y'=Xsinθ+Ycosθ…② と X=⊿X+X'…③' を代入
X'を左辺に移項
cos2θ=1-sin2θを代入
cosθで約分
以上より、
半径RはX=X2(=X'+⊿X)を代入して、次に衝突箇所(X,Y)に変わって(X2,Y2)の値を代入して求める
となる。(下図は障害物に接触しない最大値。)
つまり、僕の事故だと
⊿X=3.72m 、 Y=1.57m 、 Y2=3.43m より
後は、それぞれの主張通りにθの値を入れてX'の値とRの値を算出する。
損保の主張する衝突角度θ=25°なら、
X'=28.9026612…m 、 X=32.6226612…m 、 R=32.8024835…m
大学教授の主張する衝突角度θ=38°なら、
X'=9.26844885…m 、 X=12.9884488…m 、 R=13.4337151…m
障害物に衝突せずに右折を行う為の最大の旋回半径は、X=8.07m、Y2=3.43mより、R=8.768682911m
Rをこの値にする為には、θ=47.0451947…°となり、
X'=4.35m 、 X=8.07m 、 (R=8.768682911m)
加害者車両の最小回転半径であるR=4.5mで旋回したと仮定する場合、θ=75.793072050034…°となり、
X'=-0.807080502m 、 X=2.912919498m 、 (R=4.5m)
【まとめ】
旋回運動の関係式
は、⊿X、Y、Y2といった『事故の後でも確認し易い値で検証する事が可能』です。
⊿X:右折開始地点から衝突地点までのX軸上の距離…(現場に行って測定!)
Y:後輪から衝突箇所までの距離…(事故後の破損写真で確認可能)
Y2:後輪からフロントまでの距離…(車両のカタログ値で確認可能)
θ:衝突角度…(本当に現場で再現が可能か、値を代入して検証!)
事故後、損保の鑑定人は勿論、理工学部交通科学科の大学教授であっても駐車車両に接触する仮定をする事があります。
だから、第三者の主張を鵜呑みにせずに『必ず自分の手で確認』をしてください。
もしもかつての僕が「素人の鑑定なんて無駄だ!」と決めつけて何もしなかったら…このWEBサイトも電子書籍も生まれませんでした。
自分自身の行動が未来を変えます。
経験や、頭の良し悪しはあまり関係ありません。(書籍やWEBサイトで先人の知恵を学べます。)
重要なのは、『やる』か『やらない』か…なのです。