第5章、角度の詳細

5-1、簡易式のおさらい

前著で解説した僕の事故の要点をおさらいします。

①衝突場所(車線の中央)

②センターラインから旋回開始

③旋回半径の限界(障害物の位置)

以上の情報で、旋回半径の最大値を算出できます。

旋回半径が分かれば、衝突角度も定まります。

旋回半径


加害者車両の右折開始地点が手前になればなるほど、旋回半径は大きくなります。(円の半径に注目!)

旋回半径を大きくすると、衝突角度は浅くなります。 

しかし、旋回半径を大きくすると加害者車両は駐車車両に衝突します。

事故後、加害者車両は『駐車場内で停車』しているので、縁石やフェンスや駐車車両といった障害物に接触せずに駐車場内に入る事が可能な旋回半径を求めます。

事故直後


(※写真右上は、事故直後駐車場内で停車した加害者車両の後部。 被害者バイクは「通行の邪魔になるので歩道に動かした」との事。)

駐車場内に進入する前後で右折を完了している事象を元に作ったのが、前著でも説明したR=cd/(1-cosθ) の簡易式です。

旋回半径近似式


正しい値に比べ『値が若干大小します』が、ここでは『旋回半径と衝突角度との関係』について理解してください。

ポイントその43: 衝突角度が浅くなる程、旋回半径は爆発的に大きくなる。

5-2、後輪に軸を置く

前著でも『簡素化した式』だと説明した様に、前述の式は軸を前輪に置き、はみ出しを無視した近似値です。

実際には旋回の際、自動車は『後輪を軸』にして回っており、誤差が生じています。

後輪軸旋回


よって、後輪を軸に回転し、全部で3点(前端・衝突箇所・後輪)の円運動を考える必要があります。

後輪軸旋回(座標)


基本は後輪を軸(X軸上)にした円運動です。

衝突箇所の座標は(8.07、1.57)で、衝突地点のX座標が4.35である事が明らかなので、衝突箇所のY座標は

回転移動後のY座標の計算式


で算出できる。(Y'=6.97619523…)

(∵ R2 = 8.072+1.572 = 4.352+Y'2

以上の様に考えて、円運動を回転移動と考えて考察します。

以降で詳細を解説しますが、基本的に高校の数学で習う『回転移動の一次変換』を用います。

興味のある方は調べてみてください。

ポイントその44: 後輪に軸を置くのが簡素化式との違い