目次
第1章、 速度値を捏造して、支払う補償を激減させる
第2章、 ブレーキ痕で消費されるエネルギーと速度の関係
第3章、 裁判外紛争解決手段 (ADR)って…被害者の敵なの?味方なの?
第4章、 交通事故と物理学
第5章、 角度の詳細
はじめに『おわりに』
せっかちだと思われるかもしれませんが、はじめに『おわりに』を書きます。
先に結論を知っていた方が、分かり易い事が多いからです。
本書(このWebサイト)を全て読んだ後で、再びここを読んだら…僕が何を言いたかったのか、改めてご理解頂けるかもしれません。
機会が有りましたら、読み返してください。
意味が分からない箇所
読んでいて内容が理解し難い個所があった場合、熟考するのは一旦やめて次に進んでみてください。
次の項を読んだら簡単に分かる内容もあります。
意味を理解しようとして、ページを止めて悩み続けないでください。
逆に、どれだけ読み進んでも分からなかった場合にはスルーしてください。
恐らく、今のあなたにとって『必要ない箇所』なので、見なかった事にしてください。
しかし、自分の事故に近い内容なのに意味が理解できない(だけど、どうしても知りたい)場合には、遠慮なくメールで質問をしてください。
時間が取れ次第になりますが、噛み砕いて回答します。
質問の多い箇所は、別に解説用ページを作成したいと思っています。
皆さんからのご質問をお待ちしています。
一人称につきまして
電子書籍でもこのWebサイトでも、一人称を『私』ではなく『僕』にしてあります。
これはただの『謙譲語』です。
あまり気にしないでください。
営業経験の有る方なら分かると思いますが、一人称を『私』ではなく『僕』にすると、お客さんとの距離が格段に縮まります。
癖ですね…。 この方が、会話がし易いのです。
『読者の皆さんとの距離を縮めたい!』と言う僕のワガママだと思ってください。
タブー
まず最初に、僕は仲間外れにされました。(笑)
交通事故業界でタブーとされている内容に直球で物申したからだと自負しています。
損保の皆さんと仲良くできないと、交通事故鑑定の新参者は仕事が激減し、冷や飯を食う事になります。
(逆に仕事が少ない分、1つ1つの案件を細かく見えるのが僕の強みであり、強がりです。(笑))
ただ、後悔はしていません。
工学鑑定では、『正しい事は「正しい!」間違っている事は「間違っている!」と言わなければならない』と、今でも信じて業務を行っています。
物理法則を曲げて、依頼人にとって都合の良い交通事故鑑定を行えば…三度の飯には困らないかもしれません。
しかし、『物理的に正しい主張を行わないと、工学鑑定自体が意味の無い活動に成り下がる』ので、事実を曲げる行為のお誘いを受ける気は微塵もありません。
実際にはどんな事故だったのか?
何も脚色しない交通事故の事実をそのまま知りたい方からのご依頼を、お待ちしています。
則天去私とは
題名の『則天去私』は夏目漱石が晩年に理想とした境地を表す言葉です。
字の如く『天に則(のっと)り私を去る』の意で、『自然法則や普遍的な妥当性に従い、私心を捨て去る』事を意味します。
僕が理想とする『交通事故鑑定の有るべき姿』です。
残念ながら、交通事故関係のプロの多くは『スポンサー寄りの結論』を出そうとします。
普遍のはずの物理法則をも曲げて…です。
事故後、「依頼人側に罪は無い!」と主張すれば、耳触りの良い言葉によって仕事に繋がり易くなる事でしょう。
しかし、その様な行為に本当に価値が有るのでしょうか?
僕が『則天去私』を前面に掲げるのは、この業界では実行する事が難しい理想だからです。
結論ありきで行う調査や鑑定は意味が無い!
僕は強くそう思っています。
事実を確認する為に行うのが調査や鑑定です。
『最初から答えが決まっている調査や鑑定』なんて…おかしくないですか!?
現在、交通事故後の対応を業務にしている方は、今一度、襟を正しましょう。
同時に被害者の方は、示談や裁判で戦う前に、交通事故後の世界における現実を早急に理解しましょう。
まずは『弁護士の皆さん』にお願いです。
時に強力な助っ人であり、時に凶悪な敵でもある弁護士の皆さんにお願いです。
『交通事故案件を扱われる弁護士は、もっともっと物理学を学んでください!』
現在の交通事故訴訟を取り巻く混乱は、弁護士の皆さんの物理的な知識の無さも一因になっています。
原告と被告のどちらの弁護であっても、『物理的におかしな主張は、おかしい事を即座に注意する』事を徹底すれば、暴投に等しい主張の裁判資料を見る機会は激減するはずです。
暴投をフルスイングする対戦相手が居るから、悪用されるのです。
これはもう、倫理的な問題です。
中には物理学を知らないふりをして、好き勝手に物理的にありえない嘘八百で固めた事故の状況を主張する人まで居ます。
有名な『法の不知はこれを許さず 』と言う言葉なら弁護士の皆さんはご存知だと思いますが…同様に、交通事故案件については『物理学の不知はこれを許さず 』と言えるのではないでしょうか。
(※『法の不知はこれを許さず 』とは、例えば「泥棒したら牢屋に入れられるなんて知らなかった!」と犯人が主張したとしても、問答無用で罪に問われます。 つまり、『行った行為が犯罪とは知らなくても、罪に問われる』と言った感じの法の格言です。)
つまり「知らなかった」で済む行為ではありません。
交通事故の鑑定も同じです。
そもそも、物理学を全く知らないなら、最初から交通事故案件なんて受けてはいけません。
依頼主(損保)が出した鑑定書面の内容を何も確認せず、そのまま裁判に丸投げして…本当に正しいのでしょうか?
(虚偽の主張の片棒を担ぐ行為であった場合、後悔しませんか?)
ただ、物理学はそんなに難解な学問ではないので、これを機に『物理の力学だけでも学び直す』のも1つの解決方法だと思います。
僭越ながら、僕のWebサイトや電子書籍が何か理解の助けになれば幸いです。
また、「これってどう言う意味?」と質問をメールして頂ければ、可能な範囲で解答したいと思っています。
宜しければ一緒に勉強しましょう。
僕が知ってる物理の事は何でも教えますので、代わりに法律の事を色々教えてください。
次に『損保関係の皆さん』にお願いです。
現実を受け入れてください!
僕の率直な意見です。
当然、心有る損保関係の方には言い返されます。
「こっちも頑張ってるよ!!」(知ってます!)
「いや、真面目にやってるって!」(知ってます!)
「君が言う様な事はしていない!」(そうなんですか!?)
真面目に仕事をしている人が居る事も知っています。
だから、事故後の処理をメチャクチャやっている人の2番目の被害者は、真面目に仕事をしている損保の担当者だと言えます。
また、損保自身は行っていなくても、外注の業者が好き勝手にしていたら、『損保が無茶苦茶な事をしている』と思われる事でしょう。
『1つ腐ったミカンを見つけると、箱の中の全てが腐ったミカンに見える現象』です!(実際に腐っているのは一部だけですが…。)
流石に何か手を打たないととマズくないですか?
それとも、今後も費用対効果で処理業者を利用し続けますか?(そうであれば、被害者からの痛烈な批判や炎上も宿命として受け入れましょう。)
僕は損保関係の皆さんの今後の対応に期待しています。
コンプライアンスどころの騒ぎではない現状を取り締る『新しいルール作り』をすべき時期が、すぐそこまで迫って来ています。
皆さん自身で新しい答えを見つけてください。
最後に『被害者の皆さん』にお願いです。
まず被害者の皆さんは『交通事故に対して何も知らない現状』を理解してください。
早く、自分のバカさ加減に気付くべきです。
(これは批判ではなく、『事故直後の僕に、今の僕が一番に掛けたい言葉』です。)
自分で答えを出さず、ただ他人の判断に従うだけでは『無責任な子供と同じ』なのです。
厳しく聞こえるかもしれませんが、残念ながらこれが現実です。
常に答えを追い求めてください。
1つ僕自身の体験談で具体例を挙げましょう。
鑑定の仕事をしていると被害者から直接メールで交通事故の相談を受ける事があります。
その際、僕は現場の場所や状況・事故後の破損といった『事故の詳細』を事細かに伺います。
そして、事故のおおよその状況を推察し、サービスで簡単な所見(『だいたい、こんな感じで事故になったのでは!?』と言う意見)をお伝えします。
ちなみにこの所見は正解ではありません!
この情報を叩き台にして『ここは正解! ここは間違い!』…といった感じに、事故後の物証と照らし合わせて『自分自身で真実を調べて欲しい』のです。
事故の本質を理解できる上、鑑定人を雇うお金も節約できるので、一石二鳥なのです。
ただ…どいういうワケか、この時『事故の情報を頑なに話して貰えないケース』がたまに有ります。
スタートラインに立つ事すら断られた状態です。
こんな事を言うと誤解を招くかもしれませんが、、僕は被害者の皆さんのプライベートな情報には感心が有りません。
あと、仮に僕に事故の詳細の話をしたとしても、僕はどの損保とも裏で繋がっていないので『僕に相談した事が原因で相手側に情報が漏れる可能性は限りなくゼロに等しい』と自負しています。
ところが、相談者の中に「相手側の回答が有るまでは、しばらくは動かずに…」などと言われる方がみえるのですが、、、それは間違いです。
常に情報を集め続けてください! 正しい事故の状況を考え続けてください。
『使わないかもしれないから調べない!』のではなく、『使うかもしれないから調べておく!』必要があるのです。
手を抜く為の口実とはオサラバしてください。
たまに「弁護士さんがそう言っているので…」と言われる被害者も居ますが、そうだったら、その弁護士と事故の様態について『どんな様態が考えられて、どんな様態だと有り得ないのか…』とことん詰めて話をしてください。(間に僕を挟む必要はありません!)
相手側の回答待ちの間、何もしないのはダメな人間の対応です。(全ての行動で一手遅れます。)
現状で身に覚えのある人は今後は改めて、自分から弁護士さんに働きかける事をお勧めします。
また、これから戦う人は肝に銘じてください。
後悔しない為に
本書では実例を挙げて交通事故に関する内容を説明しましたが、交通事故後にプロが主張する内容であっても、物理的に間違った物が存在するのです。
逆に『全問正解パーフェクト賞』なんて事は、珍しいと思った方が良いでしょう。
だから、内容の真偽を確認したり証明しないままで裁判を進めたり和解を受け入れる行為は非常に危険なのです。
後になって判決の書面(特に数値)に誤りを発見した場合、とても悔しい思いをする事でしょう。
そして…その怒りをどこにぶつけたら良いか、途方に暮れます。
再審が可能なケースも有るのでしょうが、それを行う人はほぼゼロに等しいと思います。
(再び裁判をして『望む様な結果が得られるとは思えない』事でしょう。)
後で悩まない為にも、二度手間にしない為にも…相手との交渉中に正しい答えを導いて、相手側の主張の矛盾を証明して粉砕してください。
そして、事故の事実に沿った条件で『過不足の無い補償』を手に入れてください。